バレエ教師の自粛生活1

皆様、お久しぶりです。忙しさを理由にブログの更新もできずにいましたが、自粛生活のおかげで時間ができましたので、ちょこちょこと思いを綴っていきたいと思います。

大変な世の中となりましたが、次の時代を作る若い世代には、しっかりと現実を勉強してもらい、次に何が起きてもおかしくない世の中でどのように生きていくべきなのか考えてもらえたらと思います。

さてと、今日は皆さんにいつか伝えたいと思っていたことを書いてみます。前々回の発表会で私は舞台を引退宣言したのですが、前回の発表会で再び踊りました。「瀕死の白鳥」でどうしても伝えたいメッセージがあったからです。

バレエの瀕死の白鳥は皆さんご存じの通り、フフランスの作曲家サン・サーンスの動物の謝肉祭からの白鳥の曲を使って踊ります。本当に美しいメロディーですよね。謝肉祭とはもともと日頃は言えない悪口などを仮面をかぶることで自分の素性を知られないようにしながら言い合うお祭りなんです。サンサーンスも皮肉屋で知られていますが、自分の知っている音楽家たちを動物に例えて皮肉ったのがこの作品なんです。とくに最後の3曲、ピアニスト、化石、白鳥と続くところはなかなか面白いです。ピアニストの曲を聴いてみてください。まさに練習曲!なんの感情表現も感性もいらないルーティーンワーク。皆さんに例えるなら基本きっちりのバーレッスン、体作りのためのトレーニング、ちまたにあふれている脚上げや驚異的なピルエットの動画。まじめにこれらをすることはバレエを踊るための基礎を作り上げるためには確かに必要です。しかしロボットのようにそれを続けた結果、人々は化石となり、最後は誰も存在しない静かな美しい湖面を優雅に白鳥が泳ぐ姿を曲に表現し、本当の芸術のみが残るということが言いたかったのだろうとされています。

話は戻りますが、美しく高く脚が上がることや、たくさんピルエットを回ることはある見方からすれば芸術でしょう。ですが、そのような要素がなくても、私は作品がその人の人生そのもので表現されれば、伝えたいメッセージをもって表現すれば、見ている方々に確かにそれは伝わっていくものと信じました。人生をかけて得てきたものを生徒たちにプレゼントしたかったのです。

その後数名の方々からとても嬉しいメッセージを頂きました。私の伝えたかったことを、確かに受け止めてくださった方々がいらしたことは、最高の喜びでありました。

また踊られますか? と尋ねられました。

必要な時は必然的に…

今日はこの辺で失礼します。