私たちを襲った7年前の東日本大震災、まさにその直後にルーマニア、クルージュという街で、国立バレエ学校との交流公演が予定されていました。ライフラインが復旧して間も無く、余震に怯えながら、出発できるかどうかわからない状況で、リハーサルを続けました。生徒さんたちも悩みましたが、結局全員、お母様達も含め30名近くを率いて日本を離れることにしました。
ルーマニアはまだチャウシェスク政権の名残か人々の生活は質素で、利用されていない広大な土地と場違いのようなチャウシェスク宮殿だけが強く印象に残りました。近年犯罪が多発しているルーマニアではありますが、私達の人々への印象は、優しく素朴で思いやりに溢れていました。震災直後にもかかわらず日本人は約束を必ず守る人達だと地元メディアからも取材を受け、バレエ学校の生徒さんが一人ずつにお花を一輪ずつ手渡してくれ、ルーマニアの民族音楽を演奏して歓迎してくれました。
数日バレエ学校にて授業を受けさせてもらい、午後は公演に向けてリハーサルを行い、オペラ劇場にて本番を迎えました。私達はクラシック作品をいくつかと、生の詩吟に合わせて振付をした作品を持っていきました。古い劇場ならではのハプニングもありましたが、お客様の暖かかさにも感動しました。初めての海外公演で、ブラボーを受けた小学生たちは感動のあまり泣いていました。そしてその小学生だった生徒達は7年経った今現在海外でバレリーナとしての出発点に立っております。彼女達が地元の子達と身振り手振りと覚えたルーマニア語で楽しそうに会話をしていた姿が忘れられません。
またこんな素敵な機会があれば是非多くの生徒さんに経験させてあげたいと心から思います。